2011年11月20日日曜日

コンタクト ランデブー




部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。







もちろん俺のことですよ。















見ていたわけではないけれど、恐らく想像するに、患者が扉を開けるときにその気配を感じ取った看護師①&②は呪縛から解かれたようだ。













ただ、俺が一人乗り遅れたのね・・・・。













部屋に入ってきた患者夫妻は俺を見て止まったよ。



一瞬動かなかったよ。



俺と目が合ったからだね。

よくわかるよ、その気持ち。





俺と、患者夫妻の様子を見た看護師②は戸惑ったような様子で、



看護師②『・・・ああぁ、えーっと、こっちは気にしないでください。初めてなんですよ、彼。』













流しやがった!

































こいつ、流しやがった!

なんか説明してくれるのかと思ったけど流しやがった!



あれを聞いただけじゃ何がなんだかわかんねーだろ!





なんか俺がかわいそうな人みたいじゃないか・・・・。





もうだめだ、本当に気分が悲しくなってきた。





だってほら、目から涙が・・・・。



看護師①『そろそろ、はじめましょうか●●さん。こうよ!こう!』



涙が・・・・。



看護師①『上まぶたのまつ毛の生え際から一気にこう!』



なみだが・・・・・。



看護師①『そのまま、下のまぶたも同じように、こう!こう!えい!』



ナミダガ・・・・・・・。



看護師①『●●さん、まつ毛長いわねー、うらやましいわ、おばちゃん、もう抜けちゃってまつ毛ないのよー』



ナ、ナ、ミ、ダ、ガ・・・・・・・・・



看護師①『●●さん、若いわねーまぶたの力がすごい!ぐいぐい押し戻していくー』



ナ、ミダ・・・・・・・。



看護師①『私くらいの年になると、まぶたがダラダラで楽なのにねー』





ナミダ・・・・・・ってなんだっけ?







ナミダを忘れた俺は、もはやマシーンのようになった。



感情の臨界点を突破して、もはや残りカスしかない。



だからだろう。患者夫妻の声がよく聞こえる。



いつのまにか、医者の先生も部屋に戻ってきた。







これが現実逃避なんだね。

勉強になったよ。





患者夫『先生、最近はどうですか?山いってますか?』



医者『いや、全然だね。最近はここにこもりっきりですよ。たまには休みがほしいですよ。』



患者妻『また、一緒に行きましょうよ。みんな先生が来るの楽しみにしていますよ。』



医者『ところで、今週末も山にいくんですか?』



患者夫妻『はい、そのつもりです。』



医者『だったら、いつもの目薬に一つ追加しましょう。気圧が変化すると目が乾きやすくなるかもしれませんからね。』





















その後、修行を続けた俺は、合計でコンタクトを4組床に落とした。



感情を亡くした俺はもはや何もできないダメ人間になっていた。









悪魔の看護師が2人で俺に襲ってきたわけではない。



本当にうまくできずに、気が付くと床に落としているのだった。





5組目のコンタクトをうんざり顔で用意した看護師①は無言で俺にコンタクトを私去っていく。









医者『●●さん、慌てなくていいですよ。昔は大学病院に30人くらいまとめて集めて3日間かけてやったもんですよ・・・・。』



明らかに笑顔が引きつっている。完全に笑顔が失敗している。



その時、奇跡が起こりました。







誰にも関心を持たれなくなって、一人で黙々とコンタクトの修行をして、約20分。



やっとコンタクトが目に入りました。



ランデブーに成功しました。









なんか、疲れちゃったよ。















もう一度、コンタクトをいつかしようとした時、あの眼科の景色が思い浮かべられてしまうのだろうか?



もはや網膜と脳裏に焼き付けられてしまった気がする。



世間のコンタクトを使用している人は、いつもこんな感じなのね。













いや、ないか。

静寂とコンタクト


コンタクトの裏表を正しく自分で認識して再びチャレンジ。



さっきもらたチラシみたいなのにちゃんと見分け方がかいてあったもんね。



舐めんなよ!看護師①&②!!!!

こっちだって伊達に25年生きてるわけじゃねーんだよ。





コンタクトの裏表ぐらい、ヒントがあればわかるわ!







・・・・でも正直怖いー。

目にこんなのはいるの?





ビビってる俺を見て看護師①が言う。

看護師①『・・・●●さん、こうよ!こう!』



看護師①が再び接近。





・・・・・・・ダメだ、笑ってしまう・・・・。

指が震える。いや、腕が、肩が、横隔膜が・・・呼吸できない・・・・。



恐怖と笑気でもう頭は軽いパニックだ・・・。









だ、誰か助けて・・・。







しばらく悶絶していると、看護師②が再び語りかけてくる。



看護師②『●●さん、大丈夫ですか?そんなに目をギュッと閉じていたら・・・』







わかってるよ、わかってるよ、・・・・わかってるんだよ。



その前に、この看護師①をなんとかしてくれ・・・いや、お願いします。

何とかしてください。



もう、脳裏に焼き付いてるけど、見ただけで笑ってしまうんです・・・。





看護師②『●●さん、そうですよね、お疲れですよね。午前中から休憩を挟んだとはいえ、ずっとですもんね。』



それを聞いた看護師①が離れていく気配を感じる。



よかった・・・・・。





看護師②『ほら、そうです、●●さん、さっきからずっと目を開けっ放しで顔が疲れてるんですよきっとだからうまくコンタクトが入らないんです。』





なるほど、一理あるかも・・・。





さっきの看護師①とこの看護師②は根本的に違う。



看護師①のことは忘れて、看護師②のことだけを聞こう。



この師匠について行こう・・・・。





看護師②『ほら、●●さん、変顔、変顔しましょう。』

といって、思いっきり目を閉じて眉根にものすごいシワを寄せて、薄目で俺を見ている。



看護師②『表情の筋肉が疲れてるんですよ、きっと。』

といって今度は限界まで眼球を開いて顎を限界まで見開いてる。



さっきの看護師①とは違ってフリーハンドでやっている分だけ、シュール感はないものの、・・・・怖い。







すげー自然に当たり前にやり始めたのが怖い。



ここは顔芸看護師の養成所だったのね。

俺は開けてはいけない扉をあけたのかな・・・。



この二人の師匠はとんでもないベテランだ。



もうついて行けない。





もう諦めて俺も変顔をする。











なぜか看護師①が再びやってきて、先ほどの恐怖を再現する。





















室内には、俺。看護師①&②。























俺、思いっきり目を見開いて変顔中。

看護師②、思いっきり目を閉じて変顔中。

看護師①、自分で目を思いっきり見開いる。







































誰もなにも言わない静かな時間が流れる・・・・。







誰も何も言わない。









だってほら、俺たち修行中だし。



なんの?

忘れました。

ただ、こうしていることがすごく大事なことだってことしかわかりません。



だって、看護師①も看護師②もずっと同じ姿勢で本当に時間が止まったみたいにうごかなよ。





・・・ただの我慢比べに感じられてきました。





看護師①と看護師②は完全に止めるタイミングを逃してしまったみたいです。



いや、そもそも始めたのが間違いだった・・・そう感じ始めました。









・・・・・もう目が、限界・・・・痛い・・・・・もう・・・・・・・・。









どれくらいそうしていただろう。



静寂を破る扉の音。





カラーんと扉についていた金鐘がなる。



患者夫『すいませーん、先生、いる?』

患者妻『見ました?北朝鮮にやられたみたいだね?』

























部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。





看護師①『あら、いらっしゃい。ごめんねんー先生はちょっと薬局でTV見てるみたい。』



看護師②『もうそろそろ、もどってくると思いますよー』























部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

















・・・・部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。



部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。

部屋の中で、目を見開いて変顔をしている男が一人。





























部屋の中で、









目を見開いて、









変顔をしている男が、





一人。

















変顔している男が、一人。











男が一人。









おとこが一人







男がひとり















ひとり・・・・・・・。