看護師②『いえ、先生なんでもありません。■■さん、それ、電源が入っていません』
早口でさらっと、告げる看護師②
固まった3人。
PC(?)のファンが回転するような音が室内に静か聞こえてきた。
俺『・・・(驚愕)』
看護師①『・・・・・・・・・・(赤面)』
医者『・・・(理解不能)』
俺『・・・(驚愕)』
看護師①『・・・・・・・・・・(赤面)』
医者『・・・・・・(推理中)』
どこかにあるのだろう冷蔵庫が夜中に突然動き出した時の音が聞こえる。
窓の外から誰かの足音が聞こえる。
俺『・・・(抱腹悶絶)』
看護師①『・・・・・・・・・・・・・・・・(赤面)』
医者『・・・(納得)』
看護師②『あれ?ごめんなさいね~●●さん。やだな~もう。言ってくれればいいのに~(笑)』
本気で赤面して、本気でバツの悪そうな照れ笑いをする看護師①。
俺は、恐らく今年一番の幸せに包まれている気がする・・・。
待ちに待った(?)甲斐があった・・・俺はこれだけで今年のアレやコレやソレが吹っ飛んだ。
看護師①『じゃ、気を取り直してもう一回やってみましょう~ごめんなさいね~●●さん。』
看護師①が手元のリモコンを弄ると画面の色が変わって、PCを立ち上げたような画面らしき雰囲気になる。それすらもよく見えない・・・。
俺を今年一番の、幸福の抱腹絶倒悶絶地獄に誘ったスーパーマシーンは正常に作動した。
看護師①『はい、これはどうですか~?』
結局、スーパーマシーンが正常に起動しても俺は画面に表示されたモノを言い当てることはできなかった。
裸眼だとマジで殆ど何も見えね~。
その後、坂口安吾(?)が付けてそうな、視力検査にはお馴染みの、レンズが付け替えられるメガネが俺に渡される。
看護師①『赤い画面と、緑の画面に、数字と円が映ってると思いますが、どっちかが強く見えるってありますか?』
そう言われてみると確かに緑色の画面に映っている数字と円のほうがくっきりと見える気がする・・・。
俺『緑の画面のほうがくっきり見える気がします。』
看護師①『そうですか、ちょっとやっぱり、乱視が入っているみたいですね。こっちのレンズと交換してみましょう。』
そういって俺のメガネに何か新しいレンズを追加する看護師①
そして何かのテストシートのようなモノを俺に見せる。
看護師①『これはサンプルです。乱視が入っているい人には、均等に同じ配置で同じ文字が書かれていても、このように差が見えるはずです。』
見せられたシートは確かに、文字と線が強調されて描かれている。
看護師①『●●さんにも、このサンプルのように画面が見えていたと思いますが、レンズを交換して今はどうですか?』
レンズを交換してから確かに、赤と緑の画面でそれぞれ差異は少なくなった気がする。だが、まだ、緑色の画面のほうが赤い画面よりも強調して見える。
俺『まだ、緑の画面のほうが少し、くっきり見えます。』
看護師①『ふ~ん、じゃちょっと待ってね・・・』
そう言いながら新しいレンズと交換する看護師①
看護師①『どう?今度は差が少なくなった?』
確かに、殆ど差はなくなった。
俺『はい、殆ど同じに見えます。』
看護師①『うん、いいみたいね。じゃ、今度は反対側の目を試しましょう。』
そう言って俺のメガネとレンズを弄る。
再び、緑と赤の画面を見る。
看護師①『今度はどうですか?』
俺『緑の画面の方がはっきり見えます。さっきよりはっきり見える気がします。』
看護師①『ふ~ん、なるほど。はいはい、ちょっと待ってね~。』
そう言いながらレンズを交換する看護師①
看護師①『今度はどうですか?』
俺『・・・さっきと同じように感じます。』
看護師①『そっか、ちょっと待っててね。』
そう言って、奥のカーテンに消える看護師①
同じ場所で待ってる俺。
カーテンの向こうから声が聞こえてくる。
看護師①『先生、●●さんなんですが、乱視が・・・』
医者『どう?、見せてみて。・・・・・・・ふーん、5か。まずいね。』
看護師①『最初の眼圧ではそれほどでもないと思ったんですけど。5だと結構・・・』
医者『そうだね、まずいね。でも、5だったら仕方ないよ。こればっかりはどうしようもない』
看護師①『そうですよね・・・』
医者『うん』
看護師①『●●さ~ん、おいくつですか?』
俺『・・・25です。』
少し迷ったが、多分合ってるはずだ。以前からよく、自分の年齢を忘れる。すぐに思い出せるが人に聞かれて、すぐに出てこない。特に最近だと、自分の年齢=25歳、となるのではなく、自分の身の回りの人と自分が何歳差か、で思い出している。
この時、思ったが、そういえば自分の生年月日はいつだったか?
確か同じ数字がおしいい所まで並んでいた気がする・・・弟と3歳差で3日差だったから、弟が1989年の6月10日だから・・・・自分は1986年6月7日のはず。だから、・・・25?
ってな具合だ。
なんてことをぼんやりと思っていると看護師②に話しかけられた。
看護師②『●●さんは、お仕事は何をされているんですか?近くのPCで作業されることが多いですか?』
俺『・・・そうですね。日によりますが、そういう日も多いです。』
カーテンの向こうから声が聞こえてくる。
医者『でも、いっそ、5だったら5でいいんじゃない?』
看護師①『でも、それだと、後々、本人が気づくんじゃないですか?』
医者『別に間違ったことではないよ』
看護師①『だったら早い方が・・・』
医者『●●さんは、コンタクトが本当に初めてなんだからそこまでは・・・』
看護師②『車の運転はよくされますか?』
俺『・・・月に1~2回くらいでしょうか』
医者『そこは大した問題でないよ。本人の問題だよ。というか本人が問題だと意識しなければそれまでのことさ。』
看護師①『そうでしょうか・・・私が●●さんだったらやっぱりマズイと思います。』
医者『それは、君が、今の立場だからだよ・・・』
看護師②『メガネをかけ始めたのはいつごろからですか?●●さんくらいの近視の方だと中学生くらいですか?』
俺『いえ、小学生3年生だったと思います』
看護師②『あら、早いんですね。勉強熱心だったんですね?』
俺『いえ、よく図書館に父親と週末に行ってたんです。』
図書館に通っていたのは事実だが、
まさか、小学3年生で「かいけつゾロリ」を読破しようと試みていたとは言えない。
イシシとノシシの違いについて考えていたとは言えない。
適当にページを開いて、映っているのがイシシとノシシのどちらか一瞬で当てられるか頑張っていたなんて言えない。
結構な的中率に満足していたなんて言えない。
後日、単純に立ち位置の違いに気づいてちょっと残念だったなんて言えない。
よもや月刊ホビージャパンのガンプラに混じって掲載されていた美少女フィギアの過激露出写真に食い入ってたとは言えない。
懐かしいなー。
看護師②『今まで、コンタクトはしたことが無かったんですよね?なにか最近お仕事上で必要になったんですか?』
俺『いえ、単純に興味がわいて』
看護師①『5でダメだったら・・・』
医者『その時はその時さ、仕方がない』
看護師①『やっぱりそうなんでしょうか?』
医者『●●さんは、今までずっとメガネだったんだからね』
看護師①『そうですね、その時はその時ですね。』
医者『うん』
さっきからカーテンの向こうでのやり取りがダダ漏れなんだが、俺を除外して話しているのはなんだろう?聞こえてくる言葉は、なにか俺に関することの相談だと聞こえるが、何やら深刻な気もする・・・だんだん不安になってくる。カーテンの向こうの医者と看護師①の会話の内容はさておいて、その口調はえらく気楽だ。
加えて、さっきから急に看護師②が俺に話しかけてくる。なんだろう?不自然に感じる・・・。
なにか聞かれたくないことを察した看護師②が、俺の注意をそらそうとしているのだろうか?
そう考え始めると、カーテンの向こうの会話が余計不安に感じる・・・。
なんて考えていると、カーテンの向こうから看護師①が現れた。
看護師①『じゃ、●●さんのレンズのサイズは、7・5にしましょう。実際に●●さんに合ったコンタクトを用意しますからちょっとお待ちくださいね~』
・・・・・・・・なんだろう、すげー心配しなくていいことを心配していた気がする。
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